OAKHOUSE

MENU
plus

タイトル

テキスト

ボタン

注釈

あたらしい共有について 第6回

コラム6イメージ

ポートランドは、環境先進都市と呼ばれている。いわゆる環境とは、「エコ的」なものを指す事が多いが、この街の環境とは「人と人の出会い」に注力されていると言っても過言ではない。

米国、特に西海岸で暮らしていると、自動車で移動することがほとんどで、友人や知人と偶然出会う事は、滅多にない。スーパーに水を買いに行くのも、ジムに汗を流しに行くのもすべて自動車で、結果、「エコ的」にも悪く、なにより人との交流が少なくなる。よって、ロサンゼルスではパーティやSNSのようなものが盛んになるのであって、それらは結果なのである。

ポートランドが面白いのは、1ブロックや道幅を制限することによって、町中で人と会う機会を増やした「環境整備」にある。一般的な米国都市部の1ブロックは、長さ122メートルになのに対し、ポートランドの1ブロックは61メートル。道幅や高い建物も制限することによって、人々の目線は路上のショップや、そこに歩く人に注力することになる。よって、町中で友人知人と偶然会う確率は格段とあがり、結果、その人々が入るカフェが増えに増え、「サードウェーブ・コーヒー」なるカルチャーまで生まれた。これらは、結果なのである。

さて、オリンピックを機に町中の多くに手を加える東京は、果たして「人と人の出会い」が増える街になるのか。それとも表層な「エコ的」な街になるのだろうか。その回答がわかるまで、あと7年しかない。

高城剛

1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。著書に『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。自身も数多くのメディアに登場し、NIKE、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

www.takashiro.com

アーカイブ

最近閲覧した物件