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あたらしい共有について 第12回

 フィリピンの島々を旅していると、「いったいモノの値段とは、なんなのだろうか?」と思い知らされることが頻繁にある。ボトルで買うミネラル・ウォーターの値段は一本20円で、夜風に吹かれながら受けるビーチマッサージは、一時間600円だ。

 一方、東京での同じ商品やサービスの価格は、およそ十倍。人件費も高いが、不動産価格や流通コストなど、あらゆるものが高額で、しかし、質が良いかと聞かれれば、大差ないどころか、時には劣る事さえもある。現在、東京は「世界でもっとも生活コストが高い街」で、それは「安心・安全」の代金だと言う識者もいる。

 しかし、フィリピンの離島がそこまで「安心・安全ではない」とは思えないし、地震などのリスクを考えると、同じく東京がそこまで「安心・安全」だとも思えない。

 そして、インターネットとあたらしい移動社会の到来によって、この価格差が世界を席巻している。日本と比べて十分の一のモノや人件費が、世界へと日々羽ばたくようになって既に久しく、この勢いは衰えそうもない。そう考えると、フィリピンの離島は、実は世界最先端の場所であり、世界でもっとも遅い場所でもある、という不思議な感覚になる。

 電線もアンテナも人影も見えない離島で、突如ポケットのなかのスマートフォンが鳴るとき、僕は時代が既に大きく変わり、まだまだ大きく変化することを実感する。

高城剛

1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。著書に『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。自身も数多くのメディアに登場し、NIKE、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

www.takashiro.com

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