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あたらしい共有について 第8回

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香港は、現在史上最高の好景気である。特に不動産価格の高騰が凄まじく、わずか1年で二倍三倍になるところも珍しくない。この背景には、中国本土からの資金と人の流入がある。1997年に英国から中国へと返還されて以降、香港は「一国二制度」という建前のもと、中国本土富裕層の格好の資産を逃がす場所となって好景気を迎える事になった。

色々な人たちと香港で話していると、面白い事に皆「風水」に真剣に取り組んでいることがわかる。「ここは龍の通り道だから」と真顔で話すが、実際、風水が良い場所は不動産価格も高い。なかには、龍が通れるように新築のビルにわざわざ大穴を開けたりするところもあり、名だたる香港の大企業には正社員、もしくは高待遇の契約社員として風水師が所属しているのは当たり前だ。世界最大のリテール銀行であるHSBC本店は、龍が通りやすいように隙間を開け、波打つデザインになっている。また、ペニンシュラホテルは、ビジネスがうまくいかなくなった際に、山から龍が下りやすいように(目印にしやすいように)、タワービルを建て、商業的難局を乗り切ったと言われている(実際、そうなった)。

ここ数年の国際競争力調査で、常に上位に食い込む香港は、最先端の金融システムと、風水や古い暦である太陰暦などの太古からの教えを、ずっと大切にしている。世界的に「新年」と言えば1月1日を指すが、香港をはじめとする中華圏では、毎年「新年」が月の運行によって異なっている。

あたらしい仕組みと古い仕組みの二制度こそが、香港の魅力であり、実は他国に類を見ない国際的な強さの秘密なのである。

高城剛

1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。著書に『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。自身も数多くのメディアに登場し、NIKE、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

www.takashiro.com

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