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風邪で一日中寝ておりました。
その間に団鬼六の「真剣師 小池重明」を読み終えました。これはドキュメンタリーですが、他人の人生を眺めている気がしなかったです。

真剣師とは金を掛けて将棋を指す人のことを言います。
小池重明とは、その性格によってプロには成れなかった男ですが、名人――つまり世界一強い将棋指しと打って、それを打ち負かすほどの力量を持っています。
そんな最強のアマチュアのサクセスストーリー、そして、転落の物語が先の「真剣師 小池重明」です。
将棋でしか生きられない天才の、焦がれるほどのプロへの憧憬と、自らによってそのチャンスを霧消させてしまう自己破壊的な破滅型の性格が、彼の人生を想像を絶する悲劇に向かわせます。この辺りは漫画「ブラックジャック」を彷彿とさせるものがあります。

もし機会がありましたら、ご一読下さい。
自ら傷を負うことなく、人生の失敗を味わうことができます。全体的なディティールを漫画に例えるなら、福本伸行の「カイジ」の味に通じる所がありますよ。